人事マネジメント 2004Sep(9月号)
| あなたの業界は 遅れている… この業界の 人事に学ぶ |
芸能は夢を与える仕事といわれるが、観客を一瞬にして別世界へ連れていってくれるマジックは、その最たるものかもしれない。日本奇術協会会長を務める北見マキ氏は、40年以上のキャリアを持ち、国内のみならず国際的にも高く評価されているベテランマジシャン。現役で活躍するかたわらマジック・スタジオを主宰して後進の育成にも力を注いでいる北見氏に、マジシャンの能力開発等についてお話を伺った。 (取材・文/長谷川) |
| デビュー −プロになるなら若いうちに始めること 能力開発 −積み上げた経験を若い世代にすべて伝える 報酬 −芸能人ならではの実力主義 要件 −魅力、夢見る能力、自分を磨く姿勢 |
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| 北見氏自身は、師匠につかず、独学で実力を蓄えて、今や日本奇術会のトップに。世界中の人に夢を与えるマジシャンを育てるのが現在の夢だ。 |
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| 和洋のマジックで華麗なステージを繰り広げた。92年の「30周年記念リサイタル」は文化庁芸術祭賞を受賞した。 | |
| 日本の伝統的な奇術「和妻」を演じる北見氏。その尽力により、和妻は無形文化財に指定されている。 |
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デビュー −プロになるなら若いうちに始めること
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| ●出発点はチャレンジ精神 プロへの第一歩は、誰かに師事するとかスクールに入るという行動から始まると思われがちだが、実はそうではない。マジックを「面白いな、楽しいな」と思う気持ちが「やってみたい」というチャレンジ精神に変わった時、これが出発地点である。そこから先は勉強の連続。結果が出るまで努力を続けらるかどうか、これがつぎの関門だ。技をマスターして成果があれば、自分のマジックで人が喜ぶことを自分の喜びとして感じられるようになる。その繰り返しによって「自分もこの世界で生きてみようかな」「これが自分の天職だ」と思い、「ではこれを仕事にするにはどうしたらいいか」と考えた時、その人はもうプロへの道を歩き出していることになる。 「私もそうでした。中学の時、謝恩会で何か出し物をしなければならなくなったんですが、おしゃべりもできないし歌も歌えないのでマジックをやることにしたんです。入門書を買って練習し、ドキドキしながら演じたら、生まれて初めて拍手喝采を受けてものすごく嬉しかった。それが自分の喜びになり『こんなに喜ばれるなら』と次へ次へと進んで行ったわけです」 ●斬新な芸か味のある芸か 一歩踏み出したら、スクールに入るのもひとつの手だし、さまざまな材料を揃えて知識を広げたり、日本で手に入る手品の本を読んだり、足りなければ海外からも本を取り寄せるなど、いろいろな勉強方法がある。そのうちに、だんだん「もっと喜ばれたい」というマジックの深みにはまってくる。 「最初は試行錯誤で、方向を間違えることもあります。いい方向にもっていくには、スクールやその道の専門家に聞くことが、プロになる一番の早道です。 プロになるためには、マジックを学び始める年齢は若ければ若いほどよい。マジシャンとして独立するのは20歳すぎでかまわないが、中学生、高校生までには始めている方が有利だ。 「なぜなら本の通り、教わった通りやるだけではだめで、そこに自分のアイデアを加えていかなければならないからです。それに、若いと頭が柔軟なので、この手品はこうしてこうしなさいと言われれれば、「あ、そう」と素直に吸収し、覚えることができます。難しいテクニックに対しても、あれこれ考える前に『やてみたい』『マスターしたい』という気持ちがあるので、すぐの覚えられます」 それが30歳ぐらいになると、覚えたい気持ちがあっても次第に体が言うことを聞かなくなってくる。 「しかし、年配だと絶対ダメということはありません。実際に、年配になってからプロになる方もいます。年配の人には、経験によって味付けができる強みがあります」 プロの芸にも、味のある芸、若さのある斬新な芸、うまい芸などいろいろある。どんな個性を強調していくかは人それぞれだが、お金をとる芸にするためにプロがやるべきことはたくさんある。 ●プロ志望者は、個性と意欲が肝心 北見氏のスクールにプロ志望の人が連絡してきた場合は、入学前に一度面接することにしている。趣味でマジックをやる場合と違ってプロには個性が必要だし、どれだけ意欲を持っているかも重要なので、これらのポイントを確認したいからだ。その場で「こういうキャラクターだったらこういう道のほうがいいでしょう。あなたはその努力ができますか?」というところまで話をする。 「マジックのタネを覚えたいというだけでやってくる人はたいていダメですね。あと『これでいくら稼げるんですか?』と聞くばかりで将来の夢がないのも困ります。やはり、これをしたいという夢を持ってほしいですね」 その夢を形にするのは、結局は本人だ。スクールで教えるのはあくまでもベースの部分でその先に本人が独自のものを作り上げていくしかない。 ●いつから「プロ」なのか? マジシャンがプロになったとき、それは、自分がプロ意識を持ったときだと北見氏は言う。 「プロ意識を持つのは難しいです。『あなたはプロですか?』と聞かれて『私はプロです』とはっきり言えるかどうか。言えるなら、自分の芸に自信を持っているということです。そしてただマジックをやるだけでなく、観客を楽しませるという自覚、意識があるかどうかが、プロと素人の違いです。お金をたくさん取るか取らないかかということは、あくまで後から出てくる問題です」 デビューしても、最初は研修を終えたばかりの社会人1年生と同じで、仕事をしているからといって胸を張って言えるのか本人も自信が無いし、周りも一人前とみなさない。お金をもらってマジックを見せれば即プロ、というものではないのだ。 新人が「今日はお金をもらってマジックをする」という状況になると、すごいプレッシャーを感じる。素人としてやるのとは全く違う感覚が襲ってくる。師匠と一緒にステージに上がり、3分間時間をもらうだけでも、本人は緊張でガチガチになる。しかし、大きな拍手をもらい、楽屋までお客さんがやって来て「素晴らしかったよ」と言われれば「やってよかた。自分は間違っていなかった」という意識が芽生えてくる。その繰り返しで初めて「自分はプロでやっているんだ」という自覚、意識が根づいていくると、北見氏は言う。 |
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能力開発 −積み上げた経験を若い世代にすべて伝える
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| ●奇術以外の知識と教養 「自分が楽しめばいいというのは趣味の領域。自分が楽しむよりも相手を楽しませるのがプロのマジシャンなのです。これはものすごく大きな違いなんですが、これを教えていかなければいけません。自分ひとりで楽しんでしまってはお客さんに面白さが伝わりませんから」 プロとしての勉強は、まず第一に技を練習することだ。マジックそのものだけでなく、広い意味での表現力をつけていく。 「ただステージにいるだけではお客さんの目を引きつけることはできないので、『こうしたら見せられるよ』というやり方を教えていきます。1本のペンを見せる時も、「これから何か始まるな」と思わせる表現があるのです。見せ方は本当にいろいろあります」 それに加えて、マジック以外の知識と教養(一般常識)を身につけることも大切だ。 「マジックの教科書だけを学ぶのでなく、違うジャンルの芸、他人の芸を見て自分の芸に反映させていくのもひとつの勉強になります。また、例えば絵画でもハイテク製品でも、どこが人を魅きつけているのか、どんな仕組みになっているのかと興味を持ち、吸収することが次の次のステップにつながっていきます。ある程度いけば応用もできるようになるのです。『青色発光ダイオードというのがある。あれが使えないだろうか、あれなら小さなボタン電池で使えるし・・・』というふうに」 自分の引き出しをたくさん持ち、そこから新しいアイデアを出せるかどうかが、伸びていけるかどうかの重要なポイントだ。 「雑学でもいい、本は何でも読めと言っています。語学も、できればできるほうがいい。これからは国際社会なので、身につけていると必ず役に立ちます。経済問題なども、仕事先の人と最低限の話ができれば『またこの人に頼もう』ということにもなります」 食わず嫌いをせず、広く浅くいろいろなものを吸収するほど、プロとしての可能性は広がっていく。 ●ステージでのやりとり ステージに上がったら、自分とお客の「呼吸」が大事だ。ひとつ歯車が狂ってしまうと、拍手が来ない。マナー、テンポ、スピード、手順、出し物の構成など呼吸を合わせる要素はたくさんある。 「お客さんにとってプロマジシャンは、ステージの上で不思議なことをして当たり前。一段高い場所にいるマジシャンを、最初、お客さんは、どこか引いた気持ちで見ています。それをぐーっとこちらに引き寄せる力を持たなければいけません。だから、お客さんの興味を引くものを見せようとか、最初に何を見せるとか、いろいろなことを考えるわけです」 ステージ構成を考える時は、観客の性別や年代に合わせることが特に重要になってくる。 子供やお年寄りには、ゆっくりと見せて納得してもらうことを心がける。例えば、赤いものを青に変え見せても、それをパッと認識してもらうのは難しい(元の色を覚えていないので)。それよりも、何もないところからハトを出したりする方がずっと分かりやすく、喜ばれる。 逆に、頭の回転が早い若い世代が相手の時は、テンポ良いマジックが喜ばれる。女性が多いのなら、普段使うような鍋や茶碗ではなく、花やハンカチを使った華やかなもの。親子連れが多ければ、子供が喜ぶもの(そのほうが親が喜ぶから)。というふうに、常に観客のニーズを考え続ける。 こうした、ステージでお客とやりとりする上で必要なセンスやノウハウは、普通は経験で身につけていくものだが、北見氏は「自分と同じ経験をゼロから積むべき」とは考えていない。 「私が何十年もかけて蓄積してきたものを次の世代にそっくりおしえるので、そこから先に進んでほしい。昔は師匠の芸を盗めということで、目の前でやっても教えてくれませんでした。でも、それだと繰り返しになってしまいます。「あなたの好きなようにやりなさい」ではかわいそうです。師匠より先に進むまでに時間がかかりすぎるからです」 こうすれば間違いないという最大公約数のことは、経験者の指導があれば2〜3年で覚えられるのである。 「アイデアを生み出すための考え方も教えていますよ。ただ『考えなさい』と言っても最初は無理。でも、例えば子供向けのマジックなら、子供は何に興味がある?何をして遊ぶ?とこちらが聞けば『乗り物、キャラクター……』といったキーワードが出てきます。ではそういうものを前面に出すマジックを考えよう、とやっていくわけです。『自分ができるこのマジックで喜ぶかしら』ではなく、今の自分のレパートリーにないものなら、それに合うよう加工することが必要です」 例えば子供やお年寄りを相手にトランプを使うと、数字だけで拒絶反応を起こす人がたくさんいる。覚えて下さいと言われるとパニックになる。だからそこで、「ゾウやキリンの絵のついたカード」にすればちゃんと覚えてくれて、次のステップへスムーズに進められる。 「いろいろ話しながら教え込んでいきます。次の代を背負うのは私じゃなくて若い方たちだから、ノウハウを教えていいんじゃないでしょうか。でも、今だからそう言えるかもしれません。若い頃にはできなかったですね。数年のキャリアの違いでそれをやると、ライバルを作ることになって、抜かれてしまいますから(笑) ●ピークの後は技量を落とさない努力 マジシャンの伸びる時期は、10代から始めたとして20代後半〜30代。30代終わりにピークを迎えて、あとはいかに技量が下がらないようにするかを心がけていかねばならない。 「若い時はうまくなるための勉強だが、年をとると、技量の水準が下がらないように持続させるための勉強になります。そうすることで芸能人生を長くすることができるんです。売れたからと遊んでしまうと『あの人は今』になってしまいます」 北見氏は今でもマジックをやらない日はない。365日開かれている寄席にレギュラー出演しているが、15分、20分のステージで毎日緊張感を味わうことが、すべてにおいて勉強になっているという。 「テクニックが甘くなったら、『間』や見せ方、人間的な魅力でカバーすればいい。10〜20代は若さと華やかさが身上ですが、50代で同じことをやってもだめで、見せ方も表現の仕方もその人、その年代に合ったマジックがあります。それを忘れずに、年代が上がった時にも対応していくようにと弟子には言っています。70代になったら、華やかさでは若い人に対抗できませんが、それまでの経験が舞台の上でにじみ出てきます。だから、いろんな教養を身につけることが大事なんです」 ●世界レベルのマジシャンを育てたい 北見氏の目標は、世界に出て行けるマジシャンを育てることだ。 自身が、若い頃から積極的に海外の大会に出てきた。日本古来の奇術「和妻」の養老派家元でもある北見氏は、和洋のマジックを組み合わせた格調高いステージで「ベスト・インターナショナル・マジシャン賞」なども受賞した実績がある。 それに倣い、弟子たちもしょっちゅう海外の大会にチャレンジしている。「マジックは言葉に関係なく世界に通じるものです。目標があれば本人も一生懸命やります。少々頼りないところがある人でも、意欲があれば勉強しますから、伸びていきます」 マジックだけのコンクールは日本には少ないが、海外には大小とりまとめて数え切れないくらいの大会があるという。 そういう大会などを足掛かりにして、マジシャンは国外へも今後どんどん活躍の場を広げるべきだと北見氏は言う。 「今は宴会場を使うような会社のイベントも少なくなっているし、バーやキャバレーでのショーも減っています。国内がこういう状況なので、マジシャンが職場を増やすには海外市場へも出て行くべきで、そのために国際的なタレントになれというのが私の考えです」 テレビに出られるマジシャンはほんのひと握りだ。北見氏のように寄席に出られるマジシャンもひと握り。さらに、昔のように会社の経費でマジシャンを呼んでショーを開くというスタイルも非常に少なくなった。マジシャンもこうした環境の変化に適応していくことが求められているのだ。 |
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報酬 −芸能人ならではの実力主義
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| ●中間マージンを減らす努力も必要 マジシャンの報酬の決め方はいろいろあるが、例えば芸能プロダクションにタレントとして所属した場合、マジシャンの出演料は、目利きである会社側があらかじめ「いくらで売れるか」を見極めておいて、依頼主と交渉する。 面白いのは、あるマジシャンを呼びたいと思った人がどこかの芸能プロダクションに問い合わせた場合、本人がそこの所属ではなくても、その会社が窓口になることだ。芸能プロダクション同士のネットワークがあるので、どこの会社でも斡旋窓口になれるのである。そして、その会社を経由して本人の所属先に連絡が行き、出演が決まると、2社がマージンを取ることになる。 また、「ホテルの結婚式で何かイベントを」という話が出た時などは、ホテルの宴会部門から話しが来るが、その場合もホテルのその担当者がマージンを取る。プロダクション経由で依頼されるとさらにマジシャンの取り分は少なくなるので、直接自分に連絡をもらえるように、つけ届けをすることもよくある。 HPを開いていると、それを見て直接仕事を依頼してくるケースもあるが、その場合、依頼者のほとんどはよくネットを見ている20〜30代だ。たくさんの予算を持った年配の依頼主からネット経由で声がかかることは、残念ながら少ないのである。 ●報酬では実力社会 芸能界は完全なタテ社会で、1日でも早く入った方が先輩である。先輩に黒と言われたら白いものも黒。「はい」の一言で従わなければならない世界だ。 「その辛さやくやしさをハネ返すのは、ステージの上です。先輩とケンカするのではなく、舞台の上で先輩よりも多く拍手をもらうことで勝てばいいんです。私たちはウケてナンボですから」 人気が高まれば、声を掛けられる回数も多くなる。若くてもギャラで先輩を追い越すことなど、日常茶飯事だ。テレビでしょちゅう出ているような人なら、どうしても呼びたいと思えば、依頼者も最初からギャラは高いものと思って交渉する。無名時代はワンステージ数万円でも、売れてくれば数十万、数百万。プリンセステンコー(引田天功)クラスになれば、一千万円以上の金額が動くといわれている。 名前を売るという意味では、テレビには絶大な効果があるが、テレビにはそう簡単には出られない。個人の力よりも、マネージャーの力やノウハウを持っている事務所の力に負うところが大きい。 「若い人に言うのは『必ず一生に何度かは売れるチャンスがある。それを逃がすな』ということです。そのためにはまず技術を磨いておかなければいけません。『これができるか』と言われて応えられなければ、チャンスはつかめません」 そのチャンスがどんなものなのかは予想もつかない。しかし、なかにはそれをことごとく蹴ってしまう人もいる。「子供の前では……」とか「屋外では……」とか、自分の技量に比べて高望みをするのは、自分で仕事を減らしているようなもの。波に乗れなくなる。 経験の浅いうちは、勉強のためにえり好みしないで何でもやる姿勢が大切だ。ある程度続けていればいい仕事も増えてくるし、ギャラも最初は2万〜3万だったのが5万〜10万というふうに、だんだん上がってくる。そうして、チャンスの波がやってくるのを待つのである。 |
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要件 −魅力、夢見る能力、自分を磨く姿勢
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| まず本人の魅力、第三者から見て光るものがあること。これは努力によって身につけるものではなく、感性から生まれる輝きである。 「心の中にある教養やいろいろなものがにじみ出てきます。そして、男であっても、ちょっとした所作に色気がなければだめです。だから他のジャンルの芸を見て、そこから学ぶことが大切。これは技術と違って、教えることができない部分です」 そして、いつまでも夢を失わないこと。裏返せば、子供の気持ちを持ち続けること。夢を与える商売なので、本人が夢を持っていなければいけない。ステージの上で「これが終わったらあれをしよう」などと考えていてはいけないのである。魔法使いになったつもりで、舞台の上でマジシャンという役になりきらなければいけない。 さらに、自分を磨くこと。まずはテクニックの面でも知識の面でも自分を伸ばすよう努力し、ある程度の水準にいったら今度はそこから落ちない努力をすること。 そして好奇心、探究心も大切。例えば、心理学で色があたえる影響について知ったら「ステージで夜のムードを出すにはこういう色、目立たせたいものにはこういう色」というふうに工夫するなど、常に新しいものを採り入れて芸を進化させられる人が本当のプロといえる。 |
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| テクニックよりもプラスαの演出部分で 巨大な格差が生まれるプロマジシャンの世界 |
(社)ソフト経済センター 理事長 町田洋次 |
| プロマジシャンになるには、@中、高校生から始めて、ピークは30歳代後半、あとは技を維持する、A観客に合わせて臨機応変に対応できる力、子供と老人には、ゆっくりと、若者には、テンポを速く、女性には、華やかに(花、ハンカチを使う)、観客は最初引いて見ているので、それを自分にひきつける力、B自分が楽しむのではなく、観客を楽しませる精神、C時代の変化を取りいれて、芸を進化させていく力、青色ダイオードが出たら、それを使うような知恵、D国内マーケットは、会社イベントが減り、バー、キャバレーの舞台もだめになったので、海外進出し、国際的に活躍できる力などが必要である。幸い、マジックは無言で演じることができるので、語学の問題はないからできる。 素人がやる宴会芸のマジックとは全く違う世界である。素人の先にプロがいるのではなく、素人とプロはスタートから違う。素人は技術だけでやれるが、プロはその何倍ものことができなくてはいけない。普段、TVでマジックを見てもそんなことは考えないが、それがプロの世界である。 プロの報酬も驚くほどの格差がある。1ステージ2〜3万円から、数十万〜数百万円、プリンセス天功クラスになると、一千万円以上にもなる。この価額差は、TVに出て名前が知られているかどうかが大きいが、技術プラスαの、αの大きさの違いなのだろう。 演出家で劇作家の平田オリザさんは、最近出した本で、静かな演劇、複雑系の演劇が今の流行だと書いている。観客は高校生か、それとも見慣れたベテランか、会場の大きさ、照明の具合、音楽など、演じるすべてを計算して、演技を考える。演出家は、見づらい関係を見抜き、観客が心地よい気持ちになるように演技を設計して、俳優に演じさせる。プロマジシャンもこれに似ている。 |
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| 潟Aーバンプロデュース刊「人事マネジメント」2004Sep(9月号)」掲載. |