「江戸川タイムス」1月号より (2005.1月号vol218掲載)   

今、空前のマジックブーム



▲見る者全員が北見さんのマジックに吸い込まれていく

 北見マキ――マジック界でその名を知らない人はいない。マジシャンの第一人者・指導者であり日本奇術協会の会長を勤めるかたわら本の執筆にいそしむ。スタジオ(西小岩4)を訪ね、時間をさいてもらいしばし話を聞いた。
 スタジオの壁面は片側が一面の鏡になっていた。「鏡は師匠」というくらい体の動き、舞台に上った時の目線まで学ぶことができる。技術の習得、訓練に欠かせないのだ。スタジオにはしかけはなく、ここでマジックの指導にあたる。中高生からサラリーマン、女性、熟年まで奇術に興味を持つ人が通う。
 今はマジックブームだ。「一過性に終わらせたくない。もっともっとマジックを楽しむ人が増えてほしい」と語る。門下には将来マジシャンを志す高校生がおり、秋に中国で開かれた第1回コンクールで2位に入賞した。
 「若い人は体の方が頭より先に覚えるので上達するのも早いんですね。以前は内弟子というのがあったでしょう。それがこの頃はありません。中高生がスタジオに週1回ほど通っているうちにグングン上達していく。それと、マジシャンは今では職業の一つの選択肢でもあるんですね。昔とはずいぶん変わりました」。
 日本奇術協会の会長として会員向け機関誌、普及・啓蒙活動に余念がない北見氏が力を入れているのが若手指導。同協会が吉祥寺駅近くの会場(Be・Point=ビーポイント)で月に2度開催している恒例の『IT'S MAGIC』には年1回出演する。
 北見氏は芸術祭賞受賞者でもある。また、無形文化財に指定されている日本の伝統奇術“和妻(わづま)”の達人でもある。「日本に古くから伝わる和の奇術にはいいものがたくさんあるんですよ。情緒豊かな名もついています」。“落花の舞”“傘道中”などがそうだ。
 今人気なのはクロースアップ。「2〜3人とかの少人数でのマジックです。観客に一方的に見せるのではなく、参加して一緒に楽しむという良さがうけているのではないでしょうか」。


▲洒脱で軽快なマジックはお手のもの

 カルチャーセンターなどで開く講座などでは「初心者には家に帰って友達や家族に披露できるような、すぐに使えるマジックを習ってもらっています」。
 一口にマジックといってもさまざま。イリュージョン、クロースアップ、それと普通のもの。どれもマジックはしばし現実を忘れさせてくれる。ミステリアスな空間。華麗な演技と不思議さがあいまって、魔法をかけられたような気分を味わわせてくれる。それがマジックの醍醐味といえる。
 奇術の世界で技量を磨きすでに40余年。しかしこれで終わりということはない。さまざまなマジック、レパートリーは1万以上に及ぶが、それでもなお日々勉強、修練を怠らない。さまざまな積み重ねが新しい構想を生む。
 「日本のマジックは諸国にひけをとらない。優れているんですね」「ぜひ次世代に伝えていきたいですね。これまで私が40年かけて学んだものを短時間で身に付けることができるなら、その時間を短縮でき、さらに飛躍ができるから」。若手育成が大事だ、と北見氏。自身はもっぱら「心に残る芸」を目指す。
 30周年記念のリサイタルは平成4年に開いた。昭和天皇即位50周年の園遊会に招かれた時には天皇陛下を前に芸を披露。海外遠征もこなす。招かれることも多い。和妻はそのたびに絶賛を浴びる。
 北見さんのマジックは、元日から10日までが末広亭で、3日に錦糸町楽天地前で午後1時、3時にマジックショー、6日が国立演芸場(新春名人会)、11日・12日に吉祥寺のBe・Pointで北見マキマジックショー、11日〜20日は浅草演芸ホールで行われる。
 「気軽にスタジオをのぞいて下さい」とのことだ。北見マキ・マジック教室に興味のある人はTEL.03(3657)5074へ。

聞き手・小川雅子



「江戸川タイムス」1月号より (2005.1月号vol218掲載)